2015年6月28日日曜日

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン6  10個星です!!

タイトル : ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン6
賞種   : ―
出版   : 電撃文庫
著者   : 宇野 朴人
イラスト : 竜徹


今日のインプレダクションはコレ!
ファンタジー戦記作品です!


評価は
★★★★★★★★★★
10個星です!!


闇の仕掛け人

帝国内のクーデター
しかし肝心の皇帝が行方不明で――
軍師系ファンタジー戦記
今回もかなり良かった!
毎回話術と戦いの二柱を
ハイクオリティの演出で魅せて
くれる極上のシリーズ
今回は三つの勢力が駆け引きを
行うため描くことが多すぎたのかなという印象
後はイクタが会話術で落着
という形に持っていくのかなと思いきや・・・?
クーデターを最小の傷で
終わらせるために動くわけですが、
首謀者のテルシンハを生き残らせるのが
最も難しい課題なんじゃないかなと
思いつつ読みました
肝の舌戦に関しては何度もラリーは
続いたものの、
大衆向けの前提が影響して論議という
ところまでは深まらなかったですね
でもその後イクタが放った言葉で
それも想定済みだったのかと驚きました


今日の甘口!

・流れ
  帝国内で勃発したクーデター
  レミオン派が素早く主要施設を
  制圧していき、
  皇帝の住まう場所へ辿り着く
  しかしそこには皇帝がおらず、
  クーデターが迷走を始めた
  一方イグセム派は元帥を始め
  少ない手勢が逃げのびる
  第三勢力となったイクタ達は
  連隊をまとめ帝都へ移動開始
  三つの勢力がぶつかった時、
  どうなるのか・・・という流れ
・テイスト
  国を二分する勢力の衝突、
  そこへ調停役として介入するイクタ達、
  どういった決着になるのか・・・!
  と思いきや!
  みたいな展開になりますので
  ストーリーの行く末を想像しながら
  楽しむことができます
  次巻へ引っ張るようなので
  結末が気になりますね~
・キャラ
  【イクタ】は切れ者の男性
  おちゃらけて見せたりするけど
  荒れた場を収める平穏を望む性格
  【ヤトリ】は剣豪の家の女性
  まさに鉄の軍人という性格
  【ソルヴェナレス】はイグセム派の頭でヤトリの父
  ヤトリより更にお堅い性格
  【テルシンハ】はレミオン派の頭
  使命感が強い性格
  帝国の腐敗に我慢できなくなり
  クーデターを起こした
・国のあり方
  テルシンハの抱く理想の国家を
  イクタが必ず失敗すると断言します
  舌戦の要旨は、テルシンハが
  純粋すぎてそれが軍事政権を
  立ち上げても絶対失敗するというものです
  たぶんテルシンハが純粋だから
  失敗すると言えば大衆は納得します
  というより、そう言わなければ
  逆に大衆は理解不能に陥ってしまいます

  実際は何故失敗するのかを
  突きつめて考えていくと
  根拠が説明できないことに気付くのですが、
  みんなは『絶対に失敗する』という
  話を何度も聞かされて
  『何となくそうなんだろう』という状態になっているので
  そこから深く考えようとはしません
  本作でもイクタが言葉を重ねに重ねて
  説明を試みましたがやはり
  論理的な説明はできませんでした
・国のあり方2
  それもそのはずで、
  政治というのは一人で行うものではないからです
  仮に独裁者であっても
  誰の力も借りずに一人で全てを
  こなすことなどあり得ません
  組織というファクターや群衆というファクターを伏せて
  一人に責任を求める形で説明しようとしても
  絶対に不可能なのです

  ですが、最後にイクタが
  自分は歴史学者でもないし本当のところは分からない
  直感では失敗すると思うんだけど、
  という感じで締めていたのが印象的でした
  どんなに言葉を尽くしても説明できないことを
  作者が分かっている、
  もしくは執筆してみて気付いた、
  みたいな感じに見えました
  そこをほのめかすだけでも
  本作は他の作品とは一線を画しているなと思います

  特に学生の人は
  『この既成概念は本当に正しいか?』という
  疑問を持つきっかけになれば良いですね


今日の辛口!

・最初の方
  複数勢力を描いているので
  最初の方はやや薄い感じに
  なってしまったかな
  でもそれも手厚くするなら
  倍のページ数とか必要になるしね・・・難しいw


以上、
クーデターをかき回せ、な?!
ファンタジー戦記作品でした!


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