2014年9月13日土曜日

偽神戦記2  10個星です!!

タイトル : 偽神戦記Ⅱ 雷火の帝国
賞種   : ―
出版   : スーパーダッシュ文庫
著者   : 三国 陣
イラスト : なかばやし 黎明


今日のインプレダクションはコレ!
ファンタジー戦記作品です!


評価は
★★★★★★★★★★
10個星です!!


背負うということ

新国の安定は遠い
一行が身を寄せた先にも戦火が迫り――
軍師系ファンタジー戦記
今回も素晴らしかった!
表紙のワキが目をひく第2巻
戦記においては『天鏡のアルデラミン』と本作が
本格派としてオススメ
本作の特徴は生活や風土の描写が手厚く
臨場感ある世界観や
リアルめな人間模様、
知略に技術革新と物凄く中身が濃い!
今巻では主人公達は多くの屍の上に
何かを作ろうとしているのを実感し始める
心に落ちてきた闇を抱え
今後彼らがどういう道に進んでいくのか
次巻が待ち遠しい本格派の一冊!


今日の甘口!

・流れ
  1巻で建国した《ゲイルペール新王国》
  しかし国を世界に認めてもらう
  には道が険しく、
  安住の地を求めた
  帝国皇帝の紹介で貴族の領地に
  身を寄せる事ができたが、
  皇帝の崩御に伴い内乱が勃発!
  順当に継ぐはずの長男に弟が挑み、
  圧倒して皇帝の座についた
  この皇帝に恭順を示さなければ
  攻め込むと脅されてしまうがどうするか・・・という流れ
・テイスト
  なかなか見かけない本格的なテイストです
  例えば貴族(というか特権階級)の扱いですが
  安っぽい商品だと
  『汚くても彼らはそういうものであって何も問題ない』
  という感じで子供向けにワンパターンに集約してしまいます
  ですが本作では
  勝ち馬に乗る貴族、そうでない貴族、中立の立場をとる貴族
  という風に3つのパターンに分かれているのです!
  こうしたリアリティある人間模様なので
  大人でも充分楽しめると思います!
  それから技術革新による戦場の変化、
  戦いの前に行われる会議
  といった所で披露される知略
  入念な文化や風土の世界観設定と
  大満足なひとときを過ごせると思います!
・キャラ
  【クライヴ】は利発な少年
  田舎で密かに発明をしていたが
  ゲイルペールの軍師になった
  【ソニア】は清純な少女
  ゲイルペールの女王を務める
  【シリク】はクライヴの幼馴染
  活発で奔放な少女
  クライヴが好き
  【ターニャ】は女騎士
  剣技に優れるどやし系
  でも裏では頭を使っていたりする
  【バーナード】は貴族の息子
  クライヴ一行が身を寄せる先の領主
  父親が亡くなり若くして領主になってしまった
  【ジーナ】はバーナードの領にいた博識の女性
  《橋を架ける賢者》と呼ばれ
  クライヴが熱烈に弟子入りを懇願する
  【サロモン】は敵役
  バーナードの領に大軍で攻め込んできます
  【ヴァレリー】も敵役
  サロモン軍に同行し、今回も超人的な力で
  襲い掛かってきます
・かけあい
  クライヴは以前からジーナの名を知っていたようで
  出会った途端アイドルを見付けたように歓喜します
  そして弟子にして下さいと頼み込むのですが
  興奮しすぎているのか・・・
  『そこをなんとか! そこを押してなんとかお願いします!』
  『・・・では、こうしようかノ。小生が条件をつけるから、それで――』
  『試験ですね! ありがとうございます!』
  『そ、そうともいうかもしれんノ』
  『何でしょうか、何をすればいいですかっ? 靴を舐めればいいですかっ?』
  軍師とは思えぬ興奮ぶりですねーw
・悩む姿
  今回は死、とりわけ《敵を殺すこと》に
  思い悩む姿が描かれました
  戦争に死はつきものです
  人間心理において、味方の死も大きな心的ストレスになりますが
  実はそれ以上に敵を殺すことの方が
  心的ストレスは大きいのです
  こういった悩みは多くの場合
  《割り切り》や《感覚の麻痺》、《正当化》といった
  【心の防衛機能による逃避】で解決が図られます
  『天鏡のアルデラミン(電撃文庫)』では
  主人公達の活躍する姿を重視し
  ここら辺はあまり触れないようにしていますので
  本作ではまた違った作風を
  味わうことができるでしょう
  こういったところで悩む本作の主人公達を
  『甘い』と見るか『それでこそ人間』と
  見るかは・・・あなた次第(なにw)


今日の辛口!

・今後の展開
  超兵器があったり
  敵に一騎当千の猛者がいたり
  するのはちょっと今後の扱いが難しいかもしれない
  ヴァレリーさんは今巻で退場してもらった
  方が良かったかもw


以上、
圧倒的な世界観で中身の濃い?!
ファンタジー戦記作品でした!


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