2014年5月6日火曜日

エーコと【トオル】と真夜中の落雷少女。  10個星です!!

タイトル : エーコと【トオル】と真夜中の落雷少女。
賞種   : ―
出版   : 電撃文庫
著者   : 柳田狐狗狸
イラスト : MACCO


今日のインプレダクションはコレ!
学園ミステリー作品です!


評価は
★★★★★★★★★★
10個星です!!


化学と心、そこにあるもの

事件現場に居合わせてしまった少女
犯人の疑いをかけられる中、
真犯人を突き止めるために――
人間関係の交錯や心に
焦点を当てた学園ミステリー
大満足です、お見事!
『人の心は目に見えない』から始まる
心・感情というものが
ミステリと同等以上に扱われ、
感情が死んだ主人公少女【エーコ】に変化を
もたらしていく流れに私は注目しました!
事件は強い感情によって
引き起こされるものですよね
そのためエーコが事件を追えば追う程
心・感情というものに触れる事になり、
<ミステリ要素>と心というある種の<青春要素>が
有機的に絡まり、
大きく厚いストーリーラインを形成しています
文章力がかなり高く、
強力にその世界に引き込まれました!


今日の甘口!

・流れ
  今回も事件は学校で起こった・・・!
  窓硝子が割られたという
  器物破損の疑いをかけられた
  主人公少女エーコ
  夜に人がうろついている
  という情報を基に犯人を特定
  しようとします
  しかし夜学校に侵入してみると、
  落雷を受けた生徒が倒れていました
  その生徒は手状で椅子に繋がれていて、
  何者かに落雷を誘導されたようです
  目撃者となったエーコは
  犯人と疑われてしまい、
  真犯人を探すことに・・・
・エーコと【トオル】
  主人公少女エーコは
  美化委員の仕事をサボろうとします
  が、部活の顧問の雪村先生に頑張ってね
  と言われたのを無視して
  部室に行くと、
  人体模型【トオル】君に
  『サボってんじゃねえ!』
  と叱責されてしまいます
  何故か【トオル】君はサボりを知ってるんですね、何故か、ねw
・ジブリ愛!!
  今回も【腐海】とか出てきて
  作者は相当アレが好きですね!
  コメディな雰囲気は結構アレ
  を意識して書き込まれていて、
  アレに対する愛が感じられますw
・描写
  今回は挿絵が排除され、
  あれ? これメディアワークス文庫・・・?
  って感じに
  1巻の時は挿絵あったんですけどね
  とは言え、本作はそもそも
  ファンタジー部分どこ・・・?
  な感じなので、もう電撃で出さず
  メディアワークス文庫として
  出しても良い気がします
  文章力も明らかに高くて
  読ませる力が強いですしね!
・エーコの成長
  エーコは過去受けたいじめを
  分岐点に性格が一変、
  感情が死んでしまった感じです
  しかし雪村先生と関わる内、
  少しの変化を迎えたようです
  自分から一人でいようとし、
  誰にも助けを求めなかったエーコが
  ピンチ時に雪村先生に助けを求めたのです
  やっぱり本当に困った時は
  誰かに助けを求めた方が良いですね!
  全てを一人で抱える必要は無いのです
・エーコの青春
  事件の犯人に迫っていく
  内に関係者の妬みや絶望など
  目に見えない心というものを
  強く感じさせる体験をします
  そして、次第に胸の内でざわつく何かを
  感じるようになり、
  エーコも失った感情を
  再び得ていく・・・そんな事を
  描いているようにも見えました
  更に、他人の心は理解が難しく
  声を張り上げ手を伸ばしても
  届かない事があるという事も、
  届いたと思ってもそれが本物であるかどうかだって
  疑わしい事も学びます
  これはエーコなりの青春ストーリーなのだと思います
・印象的な言葉
  『立場が変われば目線も変わる。目線が変われば見えているものも変わる
   見えているものが同じでなければ本当の意味で対等に話ができない』


今日の辛口!

・ミステリ要素
  まぁミステリを目指している
  訳ではなさげな感じですが、
  読み手からは『もっとミステリ要素を!』
  という声も結構あるかも
  (1巻よりは要素が強くなってますけどね)
  それに応えてもっと難解にしても
  良いかもしれませんね


以上、
シニカルな青春を高い筆力で描いた?!
次も楽しみな学園ミステリー作品でした!


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